毛
WOOL
毛とは何か?よい素材の服を決める毛とは?
布の製品をはかる指標は、たくさんありますが、多くは繊維で決まると言っていいと思います。
にもかかわらず、「毛」は、なぜ「毛」になったのか?なぜ「毛」だけの特徴があるか、なかなかひとことで言えないのではないでしょうか。
このページでは、「毛」についてひとことで伝えられるようになって、「毛」を最大限活用できるようになるための情報をお伝えします。
では、「毛」の大事なポイントを先にお伝えします。
毛製品だけにある違い
毛は、秋冬用の衣料やセーター、コート、スーツ生地に適しています。しかし実は、汗をかく登山やスポーツ衣料にも向きます。
この違いを正しく理解すれば、より良く「毛」を活かせるようになります。
毛のきほん#
繊維 動物繊維の毛 ヒツジ/ヤギ/ウサギ/ラクダ
起源 500~1000万年前
繊維の毛のはたらき#
植物の「毛」のきほんを確認しましたが、それが人にあたえる効果を見ていきましょう。
「毛」の感覚的な効果は、大きく2つの特性に分けられます。
・さわり心地などの 1.肌でわかる触覚性
・色などの 2.目でわかる視覚性
詳しく見ていきましょう。
1.肌でわかる触覚性
ツヤツヤ、チクチクな肌触り
毛はなんと言っても暖かいです。それは突き詰めると、Tシャツの編み生地→糸→綿植物→繊維1本となります。繊維の分子の小さな小さな働きの集合によるものです。
毛の構造は、大きく外側と内側にわけられます。外側は、魚の鱗のような表皮細胞のキューティクルが3層構造になっており、それをスケールと呼びます。
外側の1層は水をはじき、内側の2層は親水性があり水分を中心に運ぶ役割がある。スケールの重なりが、空気中の湿気や酸やアルカリで開閉する。これが毛特有の、水気ははじくが湿気は吸う性質となる。
内側は、皮質細胞のコルテックスが詰まっている。毛の繊維構造は、ヒトの髪の毛と同じ構造であり、構成成分のタンパク質のケラチンも同じです。
さらに、毛の繊維は、クリンプと呼ばれる捲縮(けんしゅく)がある。捲縮とは、繊維にパーマをかけたような巻縮みがある状態。
毛の繊維の構造に加えてクリンプが、弾力ある、糸にしやすい、膨らみのある、シワになりにくい、コシがある、型崩れしにくい、空気を含むため保温性を出す作用をもたらす。
洗濯機には向かないが清潔
スケールの一番外側には半透明の疎水性のエピキューティクルが覆っています。これが水をはじく性質を持ちます。吸水速度も小さく汚れをしみこみにくく、拭けば落ちやすいのです。
スケールの一方向に開く形状から、逆方向の摩擦が起きるとフェルト化しやすくなります。そのため洗濯時の双方向に起きる摩擦では、フェルト化が起きやすいです。摩擦をおさえた手洗いは問題ないです。
2.目でわかる視覚性
ツヤ感がある
繊維には、ツヤ感とシワ感があります。ツヤはドレス感を出し、シワはジュアル感を出します。毛はシワを自然に戻す特性を持つので、ファッション的にはドレスを演出する製品にも向きます。
スケールの一番外側には半透明の疎水性のエピキューティクルが覆っています。そのため品のある光沢を持ちます。
毛の現在の統計データ#
いま現在の毛の生産状況も見てみましょう。合繊は、比較のための例として出しています。
毛は天然繊維の中では、レアファイバーに位置づけられる。
毛の生産の種類の内訳であるが、圧倒的にヒツジが占めている。
生産場所で見ると、毛の世界の内訳は、オーストラリア、ニュージーランド、中国が3強。
元来、野生羊は、北緯30〜45度、標高3000mほどの地域で暮らしている。年間を通じて日照時間が大きく変化し寒暖差が極めて高く、冬は特に激しい寒さのある地域である。
しかし、長い家畜の品種改良の結果、今は環境適応の高い羊は、熱帯圏から北極圏、湿潤地から乾燥地、低域から高域にと広範囲の環境下で飼育されている。
日本の生産は、羊自体が2万頭前後ということで毛の生産は0.1%未満になるためほぼ無いです。気候も湿潤なため向かない。北海道の一部の牧場でウールをごく少数販売している。毛が身近に感じられる理由は、日本人は世界で1番の数の毛を消費しているからだそう。
毛の製品のみほん#
毛繊維の名品
ツイードジャケット、バッファロープレイドシャツ、ダッフルコート
毛に向く製品
セーター、コート、スーツ、シャツ、使い続ける日常着全般