ギンガム
GINGHAM

ギンガムはストライプ?

「ギンガム」と他の布との違いはどこにあるのでしょうか。

人々にどう認識されているか、布の物質としての製造方法の違い、歴史から、「ギンガム」の違いを導き出しました。

いまの結論はこうです。

「ギンガム」と他の布の違い

ギンガムは、マレー語のストライプ(genggang)の意味をもつ綿の布から誕生している。
糸の配色によって、織りの構造がストライプやチェックの模様となる綿布。

これはマレー語を使う地域で使っていた綿布を、ヨーロッパ(イギリス)が輸入して使い始めた経緯を示しています。

「ギンガム」が他の布と違うポイントは、

・マレー語のストライプ(genggang)の意味をもつ綿の布に起源がある
・糸の配色によって、織りの構造がストライプやチェックの模様となる綿布

主にこのふたつにありました。

これから、さらに詳しく説明するとともに、より深い「ギンガム」の価値の源泉を探っていきます。


ギンガムのいま#

いま日本で、人々は「ギンガム」をどう認識し、消費しているのでしょうか。

インターネットや雑誌等々を見る限り「ギンガム生地」は、 シャツやワンピースなどの衣類、テーブルクロスやポーチなど、主に女性向けの製品 としていちばん認識されているようです。

布を素材として販売している市場ではどうでしょうか。

Amazonのギンガム布一覧」や、「楽天市場のギンガム布一覧」、テキスタイルモールの布一覧などで、手軽に買うことができます。

こうやって全体的に見渡すと、布としてどのように使えるか、どのように売られているのかが見えてきます。

「ギンガム」は

  • check 夏物の衣類
  • check 子供服
  • check シャツ
  • check ワンピース
  • check ハンカチ
  • check テーブルクロス

などに最適な布であり、そのために使われています。


では、ものとしての「ギンガム」は具体的に他の布とどう違うのか?

ギンガムのきほん#

たて,よこ糸に色糸又はさらし糸を用い,主に平織としたたてじま,格子柄,こう(勾)配柄の織物。

日本産業標準調査会のJIS(日本産業規格)では、「ギンガム」はこのように規定されています。


このような「ギンガム」のつくりの違いはどこから生まれたのか?その起源にさかのぼってみます。

ギンガムのむかし#

ギンガムの起源
もともとギンガムは、マレー語のストライプ(genggang)の意味を持ち、マレー語圏で使われていた布でした。

伝統的な衣装を着たマレー人女性

1500年代からヨーロッパは、マレー半島の侵略と植民地を開始します。
このタイミングで、マレー語を使う地域で使っていた綿布を、ヨーロッパが輸入して使い始めます。

ギンガムの誕生
この時期のヨーロッパは、植民地各地から輸入した布を独自に融合していました。

ギンガムはもともとストライプ模様でしたが、北イングランドの織物工場では、輸入綿と染料を使用したシンプルな2色のチェック柄のギンガム綿織物が生産されていきます。

ここで作られたギンガムは、いまに続くブロックチェックのギンガムそのままです。

Landon, S. C, photographer. Group portrait, possibly a family, with an African American woman / S. C. Landon, Photographer, New Milford, Conn. , None. [Between 1860 and 1870] Photograph.

フランスでは、地元の生産地名へ変更し、ヴィッシー(vichy)と呼び始めて、今もヴィッシーで定着しています。

ギンガムの発展
アメリカでも19世紀半ばから、ギンガムは人気になります。

アメリカは綿花を独自に生産していたので大量に安価にギンガム生地を流通させ、老若男女に人気のある生地として定着していきます。

20世紀初頭には、ギンガム生地は若い女性のドレスや制服などで非常に人気がある生地になっていきます。


ここで、「ギンガム」のきほん情報を整理します。

繊維 綿/植物繊維/セルロース繊維


組織 平織り


たて/よこ糸に20~60綿番手の先染め糸、さらし糸を用い、5cm角に180~300本程度の密度。使用糸の番手により20(にまる)ギンガム、30ギンガム、40ギンガム、60ギンガムと工業生産の現場では呼ぶこともある。


起源 マレーシアとインドネシアとインドで製造→17世紀頃のヨーロッパ


ギンガムのみほん#

「ギンガム」のいま・きほん・むかしの情報から、「ギンガム」の使い方のみほんを導き出しました。
名品・定番となった服を知ることで今後の参考になるはずです。

ギンガムに向く製品
夏物の衣類、子供服、シャツ、ワンピース、ハンカチ、テーブルクロスなど

ギンガムのジャケット
キャサリン・ヘップバーン

ギンガムのシャツ
松田優作


「ギンガム」の他の布との違いは、

  • check マレー語のストライプ(genggang)の意味をもつ綿の布に起源がある
  • check 糸の配色によって、織りの構造がストライプやチェックの模様となる綿布

このふたつにポイントがあり、

  • check 夏物の衣類
  • check 子供服
  • check シャツ
  • check ワンピース
  • check ハンカチ
  • check テーブルクロス

に最適な布だという結論が出ました。

それでは、「ギンガム」のさらなる価値はどこにあるのか。その答えを導き出すために、繊維のちがいの理解が必要だと考えています。

繊維の違いを知る』もあわせて読んでください。

「ギンガム」の布の価値の探求は、今後も続けていき、さらに更新していく予定です。


本サイトCLOTHCHORDの『布の違いを知る』では、他の布も同じように布の違いの価値を探求しています。

さまざまな布の知ることで、布への違いの理解が深まり、視野がひろがるはずです。

ギンガムの参考資料#

出典:日本産業標準調査会ウェブサイト (www.jisc.go.jp/)